『令和』で『平成』経済をステップアップできるか

2019.04.09発行 Vol.340
新しい年号が「令和」と決まりました。個人的には落ち着いた良い元号だと思います。「平成」が発表された時もそうでしたが、耳慣れない言葉には少し違和感はありますが、すぐになじむのではないかと思います。今回のメルマガでは、平成の経済を振り返りたいと思いますが、結論から言うと今後のステップアップやレベルアップなしには令和の経済はじり貧で、また、多くのリスクを抱えているという認識が必要だと思います。

平成の経済は「バブル」で始まりました。平成元年(1989年)12月終わりの最後の営業日は、日経平均株価が38915円の最高値を付けた日です。この年の年末には翌年の平成2年には日経平均は4万円まで上昇と言われましたが、年が明けると一気に日経平均は下落、その年の前半には2万円台まで落ちました。バブル崩壊の始まりでした。
そして、バブル崩壊は土地や金融市場を直撃し、平成9年(1997年)11月には、北海道拓殖銀行や山一証券が破綻、翌年には、日本長期信用銀行や日本債券信用銀行などが相次いで破綻するという未曽有の金融危機を迎えたわけです。その後、米国では住宅バブル、欧州では通貨ユーロ登場によるバブルが発生、そのおかげで中国経済が10%程度の成長を続け、瀕死の日本経済もその恩恵を受け、平成14年から19年まで、成長率は低かったものの、戦後最長(当時)の成長をしたのです。

しかし、平成20年にはリーマンショック、その後は世界同時不況やユーロ危機と、世界経済は大きな危機を迎えました。日本経済も大きく後退し、また、その後の民主党政権の出現と失態、さらには、平成23年3月の東日本大震災により、日経平均も7千円台まで落ち込みました。平成24年12月に自民党政権が復活し、25年4月からは「異次元緩和」とまで言われた日銀の金融政策が始まったのです。当初2年間で、インフレ率を2%にまで向上させるということでしたが、なかなかそれはかなわず、緩和を拡大しながら、マイナス金利政策まで導入していますが、結局開始から6年経っても、インフレ目標は達成できていません。
その間、今年の1月まで景気拡大が続いていれば、平成14年から19年までの期間を抜く「戦後最長」の景気拡大をもたらしましたが、こちらは、金融緩和という「カンフル剤」の影響もあるものの、主には、米国や中国経済の拡大に支えられた部分が大きいと思います。

そして、何よりも注意しなければならないのは、平成25年の異次元緩和開始時には135兆円だったマネタリーベース(日銀券+日銀当座預金)が、なんと現時点で4倍近い500兆円にも達していることです。それだけじゃぶじゃぶに資金を供給しているのですが、その裏では、政府が発行する国債の半分程度にも上る450兆円以上の国債を日銀が保有しており、さらには、株式も大量に日銀が保有しています。非常に大きなリスクを日銀が取っていることです。さらには、それを良いことに、政府が国債残高を増加させているのです。

4月1日の改元があった日に、大阪で毎日放送の「ちちんぷいぷい」生放送に出演し、令和のキーワードを私は「変革」と述べましたが、これは、変革があって欲しいという私の願いとともに、変革をしなければ、ここまで述べたように、大きなリスクを抱える中で、経済はこのままではじり貧で、是が非でも「変革」が必要だということです。厳しい現状認識をしていますが、政府をはじめ一人ひとりが自覚をもって変革に臨む時が来ているのではないでしょうか。良い令和となることを心より願っています。

【小宮 一慶】
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