景気のさらなる悪化に注意・・・1年分の資金を確保せよ

2020.10.27発行 Vol.377
この一週間はコロナにもかかわらず出張が多く、大阪、京都、福岡、一宮、名古屋に行きました。各地で泊まったホテルはGoToトラベルのおかげもあり、結構混んでいました。とくに、京都駅前のホテルでは、朝7時前に結構大きな朝食会場に行ったのですが、ほぼ満席状況で、会場を出るときには、外に待ちの行列ができている状態でした。比較的年配のご夫婦が多かったという感じです。2か月ほど前に同じホテルに泊まった時には、朝食会場には私を含めて数組しかいなく閑散としていたのがウソのような活況でした。
こういう状況を見ると、景気は回復しているように見え、とくに、目立つ部分ではそうかもしれませんが、先行きは結構厳しいのではないかと私は見ています。油断は禁物です。旅行業や観光業など、一般国民から比較的見えやすい業種では、確かに回復の状況があると思いますが、一般の国民からは「見えにくい」業種にも目配りが必要です。
ひとつは輸出産業です。貿易収支(輸出―輸入)では、なんとか均衡を保っていますが、輸出額は、ここ半年ほどは、昨年の同時期よりも15%程度減少しています。額にすれば、毎月1兆円程度減少しています。この毎月1兆円という額は大きな額で、一部の輸出産業では、大きな打撃を受けているのです。
これは、コロナにより、4-6月では、米国の実質GDPが約3割、ユーロ圏では約4割減少したことなど、世界経済の停滞が大きな原因です。この期間に中国は成長率がプラスに転じましたが、それでも、回復の力は十分ではありません。7-9月は欧米ともに4-6月よりは回復しますが、それでも力不足であることは否めません。さらには、欧州では再度コロナの感染拡大が起こっており、日本の輸出産業の回復はなかなか厳しいと考えられます。
さらには、インバウンド需要も当面は期待できません。中国は感染の拡大が止まっていますが、中国政府としては、感染の可能性のある地域への出張や観光は控えて欲しいと当然考えています。感染を持ち込まれたらこれまでの苦労が水の泡だからです。中国人観光客が日本のインバウンド消費の中心ですが、こちらの回復も日本の感染がこれまで以上に抑え込まれる、つまり、ワクチンが完成し、日本で広くいきわたるまでは、なかなか難しいと考えるべきでしょう。
もちろん、「ウイズ・コロナ」でのビジネスの工夫も進みつつあります。日本でも実質GDPが3割近く落ちた4-6月のような状況ではないことは明らかで、底を打って回復しているのですが、その力は十分に強いとは言えません。一人当たりの給与を表す「現金給与総額」は春以降は前年比マイナスの状況が続いており、物価も下落気味です。需要が落ちているからです。今後もこの状況が続くと、「デフレスパイラル」に陥る懸念もあります。
私はこのところ、私のお客さまの経営者たちには「今後1年分ほどの資金を手当てするように」とアドバイスしています。このウイズ・コロナの状況での収入と支出を十分に吟味して、1年ほどはこのような状況が続くという可能性を念頭におきながら、資金の確保をしておくことが大切です。資金が足りなくなると経営者の心の余裕がなくなります。心に余裕を持ったうえで、この状況でも「できること」を徹底的に考えることが大切です。
【小宮 一慶】
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