「思い込みに注意」

2018.05.22発行 Vol.319
歴史が好きというか、確認するのが好きというかで、ときどき歴史に関する本を読みます。その中でも『もう一度読む 山川日本史』という高校時代の日本史の教科書の復刻版は事務所の書棚に入れてあって、ときどき調べたい箇所を読み直します。先日も、今、NHKで「西郷どん」をやっているということもあって、幕末の部分を読み返しました。

そのときに、ペリー来航の話が出ており、ペリーが日本まで来た時の航路が載った地図が出ていたのですが、それを見て私はとても驚きました。その時まで、私は、ペリーは太平洋を渡ってやってきたとずっと思っていたのですが、実はペリーの艦隊は東インド艦隊で、米国東海岸のノーフォークというところを出港し、大西洋からアフリカ先端の喜望峰を通り、インド洋を経て、香港などに寄港してから日本に来たのです。私は勝手に太平洋を渡ってきたと思い込んでいたのです。

余談ですが、ペリーに関してもう少し話しておくと、日本では黒船で開国を迫った彼(マシュー・ペリー)が有名ですが、米国では彼の兄であるオリバー・ペリーのほうが断然有名だという話を、数年前に当社の海外視察ツアーで米国ロードアイランド州ニューポートにある米海軍大学校を訪問した時に聞いたことがあります。兄のオリバー・ペリーも海軍の軍人ですが、彼は「第二次独立戦争」とも言われる米英戦争の英雄です。米国の歴史の教科書に載っているのは彼のほうで、米国で「ペリー提督」と言えば、兄のオリバー・ペリーをいうことがほとんどだということです。日本でペリーと言えば、弟のマシュー・ペリーで、日本の歴史の教科書にも載っているのですが、なかなか面白い話だなと思いました。

「思い込み」ということに話を戻しますが、歴史上の事実だけでなく、さまざまなことに対して私たちは思いこみがあるということに注意が必要です。どうしても、私を含めてだれもが、何らかの思い込みを持つものです。経営コンサルタントとして企業を見るときも、皆さんが自分の仕事に向き合うときも、さらには、本を読んだりするときにも、思い込みが必ずあるものなのです。

そして、それに関連して、どんな場合にも自分の考え方や価値観に根差した「バイアス(偏見)」というものがかかっているということにも注意が必要です。当社で主催している後継ゼミやコンサルタント養成講座ではときどきケースを分析してもらうのですが、その時も、事実を事実として正確にとらえることが大切で、自身の価値観に基づくバイアスがかかると、正確にケースを読み解けないことがあります。

いずれにしても、松下幸之助さんがおっしゃる「素直」ということが何よりも大切で、思い込みやバイアスがかかってものごとを見ていると思っていることが必要ですね。

【小宮 一慶】